サマリー
2024年10月に日本では衆議院選挙、11月にはアメリカで大統領選挙が行われました。
日本の衆議院選挙では、与党の議席が過半数を割りました。与党が政策を実現するには野党の協力が必要となり、政情が不安定になる結果となっています。一般的に、政情の不安定化は外国人投資家から嫌気され、株価の下落要因となります。
アメリカの大統領選挙でも、民主党から共和党への政権交代が起きました。政治の主導者の考え方やスタンスによって経済に大きな影響を与えるため、今後の市況は注視する必要があります。
相場が激しく動く可能性がある中で、「投資の神様」として知られているウォーレン・バフェットの言葉を知り、投資の向き合い方について考えてみましょう。
ウォーレン・バフェットとは、投資会社バークシャー・ハサウェイを経営している人物です。過去50年間の年間平均リターンは20%と非常に優れた運用成績を残しており(S&P500の過去約50年間の年間平均リターンは9.9%)、その言動は世界中の投資家から注目を集めています。
市場は下落し、投資を引き揚げる人には損失発生。しかし、これから投資する人々にとっては利益になる
すべての取引には売り手と買い手がおり、一方が損失を被ればもう一方は利益を得ます。つまり、自分が被った損失は他の市場参加者の利益となるため、安易に損失を確定させるべきではありません。
保有している金融商品の価値が下がると、「これからもっと下がるかもしれない」という恐怖心を抱いてしまうのは致し方ないでしょう。
リーマンショックやコロナショックのような暴落が起こったとき、冷静さを保つのは難しいものです。保有している資産が減り続けているのを黙って見ているのは、心理的に抵抗があるでしょう。
しかし、ストレスや不安に負けて狼狽売りしてしまった場合、損失が確定してしまいます。また、その後の回復局面における値上がり益を逃すリスクもあるため、踏んだり蹴ったりです。
一方で、自分が売却した金融商品の買い手からすると「お買い得価格で購入できた」ことになります。バフェットがいうように、市場が下落しているときは「これから投資する人々にとっては利益になる」のです。
行動経済学には「群集心理」という言葉があり、これは周囲の多数意見に同調してしまうことを意味します。周囲の投資家が売り急いでいると、自分もつられて売ってしまう現象がわかりやすい例です。
投資判断の誤りを防ぐためには、相場の動きに一喜一憂せず、冷静に状況を見極めることが大切です。もともと長期投資を前提に購入した金融商品で、回復が見込めるのであれば、そのまま保有し続けましょう。
投資をする際には、他人の投資行動に流されず、自分の投資方針を貫くメンタル的な強さが求められます。
辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれない
バフェットは、投資で成功するために必要な能力として「財務会計・簿記の知識」「ある程度の情熱」「辛抱強さ」「冷静さ」を挙げています。どのような局面でも辛抱強く金融商品を保有し続け、冷静に現在と未来を展望することは、資産運用で利益を出すために欠かせません。
相場が下がっているときに辛抱できず売ってしまったり、冷静さを欠いてパニックに陥ったりすると、損失を被ります。
逆に相場が好調なときに目先の利益(含み益)に意識が向いてしまい、安易に利益確定させてしまうと、将来的に得られたであろう利益を逸失してしまう要因となります。
バフェットの言葉からも、狼狽売りを避けて、市場の一時的な変動に惑わされないメンタルを持つことの重要性がわかるのではないでしょうか。
投資で安定的に利益を得るには、長期間にわたって金融資本を市場に投下(投資)し続ける必要があります。また、投資にはリスクが伴う大前提を認識したうえで、損失を受け入れる覚悟を持つことも大切です。
例えば、NISAの「つみたて投資枠」で投資信託を積立購入すれば、相場に流されずに淡々と積立投資を実践できます。辛抱強さや冷静さを保てる自信がない人は、機械化して淡々と積立投資を継続することも一つの選択肢でしょう。
積立投資を実践する中で辛抱できなくなったり冷静さを失いそうになったりしたときは、リスクを取り過ぎている可能性が考えられます。「現在運用している資産の4~5割を失ったとしても、冷静でいられるかどうか」をイメージし、必要に応じてリスクの見直しをするとよいでしょう。
株式投資の極意とは、よい銘柄をよいタイミングで買い、よい会社である限りそれを持ち続けること
バフェットが述べているのは個別の株式投資についてですが、これは投資信託でもいえることです。購入したら、引き出す必要性に迫られるまでは保有し続けましょう。
一般的に、運用期間が長いほど収益の振れ具合が小さくなり、安定的に収益を得られるといわれています。また、長期投資になるほど複利(得られた収益を元本にプラスして運用することで利益が利益を生み資産が増える)効果が大きくなり、効率よく資産を増やせる可能性があります。
投資信託を購入したあとは、感情に左右されることなく、引き出す理由がない限りは持ち続ける意識を持ちましょう。
よい投資信託を長期保有するためにも、実際に購入する前には「目論見書」に目を通し、自分の投資スタイルや価値観に合致するかを確認することが大切です。
まとめ
政治や国際情勢に大きな動きがあると経済にも影響を与え、相場が大きく動くことがあります。相場が激しく動く局面では迷いが発生する可能性がありますが、バフェットがいうように「辛抱強さ」と「冷静さ」を持って投資判断を下すことはとても大切です。
自分の投資方針や価値観にあった金融商品を購入しているのであれば、相場が乱高下しても慌てる必要はありません。
投資の神様ウォーレン・バフェットの投資への向き合い方や考え方からは、投資の本質を学べます。投資をしている中で判断に迷う場面が出てきたら、賢人の言葉に耳を傾けて投資判断に活かしましょう。
※ 本文は、著者の調査・経験に基づき一般的な内容を掲載したものです。また、各種制度、政策および投資環境については執筆時点のものであり、将来変更となる可能性がございます。資産運用においてはお客様ご自身の収入や貯蓄、生活スタイル等に基づいてご判断ください。