新型コロナウイルスにみるサステナビリティの重要性

投資家は新型コロナウイルスが金融市場に与える影響を懸念し困惑しています。アムンディのESGリサーチ・議決権行使・エンゲージメント責任者であるカロリーヌ・ル・モーは、投資家がニューノーマル(新たな常態)に慣れるにつれて、環境(Environment)、社会(Social)、およびガバナンス(Governance)のESG基準が以前よりも重要な役割を果たすようになると予想しています。「ある意味、パンデミックは人と地球にとって本当に重要なものとは何か、私たちに気づきを与えてくれました。新型コロナウイルスは私たち全員に警鐘を鳴らしているのです。」

ル・モーは、気候変動、社会問題、企業構造を考慮に入れた投資がパンデミックによって加速すると指摘してします。気候変動は依然として重要な問題ですが、投資家と社会は社会問題の重要性をますます意識するようになっています。「新型コロナウイルス感染症が広がる前は、責任ある投資家は主に、炭素排出量や役員報酬の透明性の欠如など、環境と企業統治の問題に取り組む企業に焦点を当てていました。しかし、コロナ危機が発生して以降は社会的課題が脚光を浴びています。」

ル・モーの視点から見ると、投資家が認識すべき課題において、社会の不平等の重要性は高まっています。「新型コロナウイルスは、多くの人々が困難の中で働いている状態を明らかにしました。ウイルス拡散の要因となった食肉処理場における劣悪な環境に目を向けてみましょう。これは新興国だけの問題ではなく、先進国にも存在する問題です。」とル・モーは指摘します。

さらにル・モーは、「多くの企業は、従業員と顧客にフォーカスする必要があることにようやく気づきました。社員の定着率や顧客のロイヤリティーなどにしかるべき注意を払わない企業は、代償を払うことになります。企業が姿勢を変えるべき時期はとっくに過ぎ去っているのです。」とも述べています。

投資家は状況を改善したいとこれまで以上に考えています。そのためESGに関わる事項を真剣に受け止めている企業に資金を振り向けはじめました。企業はカーボンフットプリントを減らすために何をしているのでしょうか。企業は従業員をどのように扱っているのでしょうか。企業は平等とダイバーシティを積極的に促進しているのでしょうか。

投資家がこうした問いかけを発するのはこれが初めてではありませんが、新型コロナウイルスは投資家にまったく新しいレベルの切迫感を与えています。「私たちがこれまで危機を経験してこなかったわけではありませんが、今回は、生活、仕事、投資方法の再考が必要となる転換点にいる可能性があります。」とル・モーは指摘します。

ル・モーは、結局は一つの問いに行き着くと述べています。「自分のお金がより良い未来に貢献することを望んでいるのだろうか。そうであれば、実際に、この時代の差し迫った課題に取り組む企業に自分のお金をどのように投資すればよいのか?」

投資家の目標が環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のESGいずれの側面であれ、目標に合致した投資先を探し出すことをサポートすることができるのは、アムンディなどの資産運用会社であるとル・モーは指摘します。投資家にとって、持続可能なモデルを開発している企業を特定することが優先事項となるでしょう。「私たちは、効率的なESG分析と企業との高い対話能力によって投資家を支えるためにここにいます。これらの能力は、ESGの課題に直面した場合の戦略に関する深い知識の獲得を可能にします。金融市場が現在と同じくらい不透明な状況であれば、なおさらそう言えます。私たちは、霧の中にいる投資家を案内し、経済的および道徳的な目標を達成するために存在しています。」