サマリー
「⼤きな⼒は、⼤きな責任を伴う」というのは映画に登場するスーパーヒーローの有名な台詞ですが、これは投資の世界でも良く知られた現実です。 企業に巨額の資⾦を投じるアセットマネジャーには、誰もが恩恵を受けるポジティブな変化をもたらしながら、影響⼒を⾏使し、その企業の運命を決定づける権利と義務があります。 企業の年次株主総会では、通常、役員報酬、取締役会のジェンダーバランス、そして今⽇では最も重要な気候変動対策や社会的格差などを中⼼とする議案に対して議決権を⾏使します。 近年、有名企業による不祥事などの⾏動を巡って、メディアがよく取り上げています。 そのなかでもいくつかの事例をきっかけとして、投資家は⾃らの取り組みに改善を重ね、企業に真の変化をもたらし得ることを⽰してきました。
しかし、単に問いを発するだけの状態から、企業に永続的な変化を実際にもたらすようになるのは容易なことではありません。 欧州最⼤の資産運⽤会社[1]であるアムンディのチーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサーのエロディ・ローゲルは、「専任の⼈材が必要です」と述べています。ポートフォリオマネジャーや世界各地域の専⾨家と協働するESGおよびコーポレートガバナンスのアナリストから成る「エキスパートチーム」もそのひとつです。 2021年5⽉現在、アムンディでは世界全体で39名の専任スタッフがスチュワードシップチームに所属しており、投資チームの中で拡⼤し続けているグループが環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のESGに特化したファンドを運⽤しています。[2]
議決権⾏使⽅針:社会全体に影響を及ぼし得る主要なリスク
エネルギー転換:
低炭素社会
社会的⼀体性:
賃⾦の不平等と企業ガバナンスにおける従業員のエンゲージメント
リサーチおよびエンゲージメント
実際のところ、アセットマネジャーはなぜ議決権を⾏使するのでしょうか︖まず第⼀に、アセットマネージャーの重要な職務として、クライアントの利益を守らなければなりません。彼らは、ファンドの投資先企業が取り組むべき課題に対して、その企業に代わって⾏動しています。
したがって、議決権の⾏使に備えて、やるべき仕事が常にたくさんあります。
透明性の向上や性別による賃⾦格差といった特殊な問題への対応など、⽇常的に調査すべき課題もあります。また、株主総会の前後において、投資先企業とじっくり対話を⾏います。このことは、アムンディが投資先企業の経営陣に満⾜していなければ、彼らの決議案に対して異議を唱え確信をもって反対票を投じる覚悟ができていることを意味しています。
投資家は、どのような決議を好むのか
出所:ShareAction, Voting Matters 2020、2020年12月発行
昨年、アムンディでは株主総会の20%において、企業の議案の⼀つ以上に反対票を投じました。ローゲルによれば、主要な競合企業の8%においても、株主総会で同じ⾏動を取りました。
2020年のこうした「反対票」は、主として3つの理由に関連していました[3]︓
- 疑わしい報酬の実態
- 世界的なパンデミック渦中での、持続不可能な配当⾦⽀払
- オーバーボーディング(取締役会議⻑、様々な委員会の委員⻑、筆頭取締役並びに取締役それぞれが、⾃らの職務に⼗分な時間を費やすことの重要性から)
例えば、アムンディは2019年の株主総会シーズンにおいて、ボーイング社の最⾼ 経営責任者兼会⻑、デニス·マレンバーグ⽒の再任議案に対して、同社のボーイング 737Max墜落後の危機対応に異議を唱え反対票を投じました。⼀⽅、株主は社外取締役の取締役会議⻑への就任に賛成票を投じていました。[4]
議決権⾏使の優先順位と課題
アムンディの議決権⾏使戦略は、すべての投資先企業に適⽤されます。通常、気候変動の問題は議決権⾏使の優先事項ですが、社会的不平等への関⼼がここ数年で⾼まっています。
投資家が取締役会の⽅針や決定に影響を与える最も効果的な⽅法とは何か
では、企業が責任ある投資家の提⾔する改善案に従わなければ、何が起こるでしょうか。アムンディは企業のアプローチが改善するには時間がかかることを認識しており、成果だけでなく進捗状況についても注⽬しています。そのため、投資家にはこれまで以上に地道な努⼒が求められています。
収益⾯で出遅れていた企業が次の10年でベストパフォーマーになれば、その効果は計り知れません。
2020年の取締役会とのエンゲージメントにおいて、最も重視する3つのサステナビリティに関するテーマとは何か
出所:Institutional Investor Survey 2020, Harvard Law School of Corporate Governance(総額26兆ドルの資産を運用する世界的な機関投資家41社への調査結果 - 2020年1月実施)
出所:
[1] インベストメント・ペンション・ヨーロッパによる資産運⽤会社トップ500社(2021年6⽉版、2020年12⽉末の運⽤資産額)に基づく
[2] アムンディ・アセット・マネジメント、2021年5⽉31⽇時点
[3] アムンディ2020年エンゲージメント報告書
[4] アムンディ2019年エンゲージメント報告書
- 本コンテンツは、アムンディ・アセットマネジメントが一般・参考情報の提供を目的として作成した資料からの抜粋を弊社が翻訳したものです。
- 本コンテンツと原文との内容に差がある場合は、原文の内容が優先します。
- 本コンテンツは、本資料に含まれるいかなる金融商品の販売や媒介を意図、または購入・売却の勧誘を目的としたものではありません。
- 本コンテンツは法令に基づく開示資料ではありません。
- 本コンテンツ中に記載したアムンディ・アセットマネジメントの見通し、予測、予想意見等(以下、見通し等)は、当コンテンツ作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、見通し等や過去の運用実績を含むいかなる内容も、将来の投資収益等を示唆または保証するものではありません。
- 本コンテンツは、信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが、情報の正確性、完全性について保証するものではありません。
- 本コンテンツに記載されている内容は、全て本コンテンツ作成日以前のものであり、今後予告なしに変更される可能性があります。
- 本コンテンツに含まれる情報から生じるいかなる責務(直接的、間接的を問わず)を負うものではありません。
- 弊社の許可なく、本コンテンツを複製または再配布することはできません。
文書作成日:2021年7月1日
文書番号:1913074