サマリー
私たちは生活賃金について過去2年にわたり企業と対話を行い、世界のどこにあっても従業員に最低基本レベルの福利厚生を保証し、ひとりひとりが尊重されるよう包括的なポリシーの策定を企業に促してきました。
明白な事実[1]:
●世界で最も裕福な1%の人々が持つ富は、69億人が持つ富の2倍超
●人類のほぼ半数が1日5.5ドル未満で生活
●超富裕層は納税義務の30%を回避
1980年代以降、不平等はますます大きな問題となっており、現在では上述のように深刻化しています。富裕層と貧困層との格差、そして富裕層とさほど貧しくない人々との格差でさえもが、社会問題を引き起こしており、新型コロナウイルスによってこの事実がさらに明白になりました。
最近のニュースは、社会で恵まれない集団において相対的に高い水準にある死亡率や、その影響には見極めが必要ですが膨大な失業者数について報じています。
個人にとって、これらは、如何ともしがたい問題と感じるかもしれません。しかし、意図して資金を投ずることで不平等の問題に取り組む方法はあるのです。
それは、ビジョンと倫理的価値観を有するファンドマネジャーが、株主としての影響力を利用して、不平等をもたらす根本原因に向き合うことです。こうした運用者の一人としてアムンディは、経済社会的格差への対処を主要な投資テーマの一つと考えています。
アムンディの機関投資家・法人顧客部門およびESGの責任者であるジャンジャック・バルベリスは、「ESGには様々なアプローチがありますが、私たちは明確な優先事項を設けています。一つは気候変動と環境であり、もう一つは社会的不平等です。」と述べています。
バルベリスはこれら二つの優先事項はつながっていると指摘します。「私たちは低炭素経済への移行が社会に影響を与えることを知っています。不平等の背後にある問題にも取り組まない限り、格差はさらに広がるでしょう。グリーン・イニシアチブの一環として実施された燃料税の引き上げによって起こったフランスの黄色いベスト運動はこの例であり、ほんの始まりにすぎないかもしれません。格差は世界的な現象であり、その影響は発展途上国でいっそう顕著になる可能性があります」[2]
国連の2020年世界社会情勢報告[3]はこの見方を裏付けており、メガトレンドの一つとして気候変動をあげています。その他には、国際的な人口移動、都市化、技術革新などがあり、これらのメガトレンドに対処しない限り、将来的に不平等を悪化させることになります。
地球温暖化により、世界の人口の最も裕福な10%と最も貧しい10%の収入の格差は、25%拡大していると考えられています
調査とリソース
資産運用会社が問題に対処する上で取り得る方法の一つは、株主としての力を利用することです。会社の年次株主総会における議決権の行使がその典型です。バルベリスによると、アムンディのアプローチはさらに先行するものとなっています。
バルベリスは、「私たちの議決権行使方針は企業の責任と企業統治を重視したものとなっていますが、それで問題が解決するわけではありません。」と説明しています。
アムンディは、投資先企業の経営陣に対し、さらにはそうでない企業の経営陣に対しても、積極的にエンゲージメントを行っています。「私たちは改善の余地があると感じている企業と対話し、そうした企業が具体的な行動を取るよう方向付けようとしています。」とバルベリスは言います。
「例えば、不平等に対処する方法の一つは、企業が従業員に生活賃金を支払うようにすることです。ところがグローバル化した世界では、問題を本当に理解するために多くの要因を把握する必要があります。サプライチェーンの知識や、国内および国際的な労働基準の遵守などです。これは、アムンディの膨大なリソースと責任ある投資家としての『先行者の優位性』が活きる分野です。」とバルベリスは指摘します。
私たちは生活賃金について過去2年にわたり企業と対話を行い、世界のどこにあっても従業員に最低基本レベルの福利厚生を保証し、ひとりひとりが尊重されるよう包括的なポリシーの策定を企業に促してきました。
図表1.2:1990年と2015年における上位1%の富裕層が得た収入が全体に占める割合[4]
出所:
世界所得格差データベース。https://wid.world/data/で閲覧可能。
注:税引前の国民所得に基づく推定値であり、個人の労働および資本による税引前所得フローと年金を除くすべての移転所得の合計額です。
[1] https://www.oxfam.org/en/5-shocking-facts-about-extreme-global-inequality-and-how-even-it
[2] アムンディ、2020年9月30日時点
[3] 国連経済社会局(UNDESA)世界社会情勢報告2020 https://www.un.org/development/desa/dspd/world-social-report/2020-2.html
[4] または入手可能な直近の年のデータ。推定値の算出に当たり、以下の国々では一部の期間のみのデータを使用しています。アルゼンチン(1997~2004年)、ブラジル(2001~2015年)、コロンビア(1993~2010年)、日本(1990~2010年)、大韓民国(1995~2015年)、マレーシア(1993~2012年)、タイ(2001~2015年)。
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作成日:2020年10月21日
文書番号:1750982