インフラ整備や社会的結束の支援に振り向けられる税金の一定割合を企業が負担するのは重要なことです。この観点から圧力をかけることは、ESG投資のなかでも比較的新しいテーマですが、特に欧州において勢いを増しています。

地球が直面している大きな問題に取り組む上で、資産運用がどの程度効果的と言えるでしょうか?

アムンディは、欧州最大のアセットマネジャー[1]として、気候変動などの問題に関して企業と関わり、炭素排出削減への道筋において企業をサポートしています。

アムンディのESGリサーチ・議決権行使・エンゲージメント責任者であるカロリン・ル・モーは次のように述べています。「我々の企業との関わり方には2つの方法があります1つ目は、個々のケースに応じて対応する方法です。企業のESG取り組み評価する際、アムンディが保有する、または保有する可能性のあるすべての企業に対して実施する基本的な調査の一環です。調査の過程で、ESGの質に関して、たとえば我々が見つけたリスクや論点があれば、企業側と話し合うこともあります。アムンディは常に、企業の全般的なESGへの取り組みの質を向上させるために支援することを目指しています。」

「2つ目の取り組み方は、よりテーマ主導型で、広範囲なマクロ経済的テーマを検討することから始めます。わかりやすいテーマの一つとして、気候変動が挙げられます。私たちは、企業の排出削減を確実なものにしたいと考えています。たとえば、化石燃料の段階的廃止や、パリ協定の目標に沿って炭素排出を削減するための明確に定義された道筋を企業に提供することを目的としたSBT(科学的根拠に基づく目標)イニシアチブなどに関連して、特定のエンゲージメント・ストリームを使用します。 」

ルモー氏は、気候変動は非常に重要なテーマである一方、アムンディのESGエンゲージメントは、多数の異なる分野をカバーしていると説明します。ESGの「E(環境)」における他のエンゲージメントの案件は、生物多様性、水不足、汚染、および森林破壊を対象とする「自然資本保全」を中心に展開しています。

ESGの「S(社会)」の柱となるものの中で、特に懸念される分野は従業員の福利です。

「所得格差は我々にとってもう1つの非常に重要な問題であるため、生活賃金に関するエンゲージメントがあります。 その目的は、このような分野におけるリスクが高いと思われる企業(たとえば、大手メーカーなど)を選択し、直接雇用従業員とサプライヤーの両方に生活賃金が支払われているかを確認することです。」とルモー氏は話しています。

ESGの「G(ガバナンス)」の柱となるものの中には、ジェンダーの多様性がカバーされているか、企業が支払う税金の水準などの問題が含まれています。」

「企業が支払う税金はインフラや社会的結束のサポートに使うことができるため、企業が相応分の負担をすることは重要なことです。この観点から圧力をかけることはESG投資の中では比較的新しいテーマですが、特に欧州においては、最大規模の年金基金や政府基金が関与することで勢いを増しています。この考えは、アジアでも影響力が大きくなっています。我々は、今後数年間でこの分野が発展することを予想しています。」とルモー氏は述べています。

新型コロナウイルス感染症の危機によって、アムンディが株主として関与し、年次株主総会で投票して、企業が株主に支払うのではなく、適切なレベルの現金を維持できるようにした例が示されました。「我々は、企業が公正に行動し、すべての利害関係者の長期的な幸福について考えることを望んでいます。2020年中に従業員に対する政府の支援制度を利用した企業の場合、株主への配当の支払いに反対しました。それは企業とその株主がこういう状況で国の支援から利益を得るのは不公平であると思われたためです。」


出所:

[1] インベストメント・ペンション・ヨーロッパによる資産運用会社トップ500社(2021年6月版、2020年12月末の運用資産額)に基づく

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文書作成日:2021年9月17日
文書番号2039645

コラム著者

カロリン・ル・モー
ESGリサーチ・議決権行使・エンゲージメント責任者