新型コロナウイルス危機発生後は再度社会的課題がESGの重要な要素として脚光を浴びています。

ESG投資の目的は明確です。気候変動や環境問題、社会問題に立ち向かうとともに、従来の投資手法と同等、あるいは、より良いリターンを追求することです。

しかし、多くの投資家が大きな疑問を抱えています。それは、「理論的には素晴らしいことに思えるが、実際行動に移すにはどうすればいいのだろうか。」というものです。アムンディで機関投資家・法人顧客部門とともにESG部門の責任者を務めるジャンジャック・バルベリスにいくつかの実践的な手順を説明してもらいました。

気候変動が私たちの目の前にある危機であることは、科学的にも明白です。また、報道では、経済的、社会的格差によりもたらされる影響が日々浮き彫りにされています。これらは世界的な問題です。いったい個人投資家に改善することができるのでしょうか?

まずは、政府が、人類の将来に差し迫る大きな危機に対し取り組みを主導しなければなりません。しかし、ひとたび危機意識が共有されれば、今度は、私たち一人一人が、コミュニティーや職場、あるいは投資などを通じて、目に見える違いを生み出すことができるのです。

では、ESG投資を始めるにはどうすればよいでしょうか?

取り掛かりとして二つほど選択肢があります。気候変動などのように、自分が問題意識を持つ事項があるのであれば、その問題の解決に向けて資金を投じてみることです。

グリーンボンドがその良い例です。グリーンボンドは企業あるいは政府が発行する債券で、エネルギー転換を支えるプロジェクトの資金をファイナンスします。特徴として、多くのグリーンボンドが、直近で削減した炭素排出量は何トンであったかというインパクトを報告する点です。つまりグリーンボンドは、自分の投資が生み出す効果を明確に確認できるひとつの方法と言えます。

二つ目は、低炭素ポートフォリオに投資することです。これは、従来のファンドと同じ財務的性格を持ちながらも、二酸化炭素排出量の少ない企業を保有しているファンドに投資することを意味します。

パンデミックが不平等に与える影響

パンデミックが不平等に与える影響

出所:VoxEU。 注:この図は、1961~2017年に175カ国で発生したパンデミックに対するジニ係数のインパルス反応を発生後5年間にわたり追跡したものです(90%信頼区間)。ベースラインの決定には、従属変数の2つのラグ、およびパンデミックダミー変数の現在および2つのラグが含まれます。ジニ係数は、標準化された世界所得不平等データベースから引用しています。詳細は、ファーセリ他(2020年)を参照ください。

低炭素ポートフォリオにはどのように取り組んでますか?

アムンディは、顧客の投資目標実現に向け、いかにサポートできるかを絶えず検討しています。そして、気候変動への対応という軸を当社のポートフォリオ管理により一層組み込んでいくことを目指しています。新たなイニシアチブとして行っている、企業のスコアリング手法に気温上昇幅を用いるためのCDP(旧名称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)との連携は、その一例です。この手法により、私たちは投資先企業が地球温暖化にどの程度寄与しているのかを明確に知ることができるようになります。これは温度計のようなものと考えることができます。地球の気温上昇幅を1.5度にとどめるというパリ協定の目標に沿った投資ポートフォリオの構築に非常に有用です。

アムンディは他のどのような領域をESG投資の対象としていますか?

ESG投資の対象となりうる領域はさまざまですが、アムンディは特に気候変動と社会的不平等という二つの分野を重視しています。これらのテーマは相互に密接に関連しています。私たちは、低炭素経済への移行が社会に影響を与えるものだと考えます。環境について考えるだけでは十分でなく、このシステムの移行が、社会的な不安や世界的に大きな問題である格差の拡大にいかに繋がり得るものかについても意識すべきなのです。

新型コロナウイルスの危機は不平等にどのような影響を与えると考えていますか。事態は悪化するのでしょうか?

データはそのことを明確に示しています。ほとんどの先進国で失業者が大幅に増加しており、人々が極度の貧困に陥り、社会から取り残される状態が加速しています。多くの国でフードバンクが危機的状態となっている様子をメディアは伝えています。歴史的に見ても、パンデミック発生後に経済的、社会的格差が拡大しています。

投資を通じてこうした状況に対処するにはどうすればよいのでしょうか?

格差の問題には包括的な取り組みが求められます。投資の観点からは、ソーシャル・インパクト・ファンドが考えられます。これは、社会に対して貢献しながらリターンを生み出すことを目的とする運用です。アムンディのソーシャル・インパクト・ファンドは、5本の柱に基づくアプローチを取っています。それは労働と収入、健康と教育、多様性、課税、人権/基本的ニーズへのアクセスです。私たちは、これらの分野に明確に取り組む企業に投資しています。

労働と収入に関連して、新型コロナウイルスは一般の人々の企業に対する認識を変えたと思いますか。従業員を公平に扱う企業が、そうでない企業よりも好まれるようになるのでしょうか?

そうした傾向は新型コロナウイルスが発生する以前から大きな波となっていたと考えていますが、この勢いが増しています。従業員に影響を与える企業の決定(特に従業員の健康や社会的保障、働き方または失業に関するポリシー、および医療制度)の重要性は増す一方です。新型コロナウイルス危機発生後は再度社会的課題がESGの重要な要素として脚光を浴びています。


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文書作成日:2020年11月19日
文書番号:1810565

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コラム著者

ジャンジャック・バルベリス
アムンディ、機関投資家・法人顧客部門およびESG責任者