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きれいな水の供給に対するリスクが、構造的成長に関する投資家の最大のテーマに

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規制、テクノロジー、インフラのすべてでイノベーションが必要

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世界のウォーター・フットプリント (製品等のライフサイクル全体で使用される水の総量)を削減し将来のリスクを軽減するために、持続可能な水資源の利用を徹底

現在、世界の水資源の再利用率は世界全体の僅か5%であり、改善の余地は十分にあると言えます。

2018年3月、ケープタウンの数百万の住民に大参事が迫っていました。乏しい降雨量と人口増加、気候変動による水源の枯渇で大混乱が発生しかねない事態「デイゼロ 」が避けられそうにない状況だったのです。[1]。

危機は最終的には回避されましたが、この問題は、水が人類だけでなく地球上すべての生き物にとって不可欠であるとともに、この限りある資源に対する需要が急増していることを物語っています。

最近発表された国連の報告書では、2050年までに約50億の人々が暮らす地域で深刻な水不足になることが指摘されました[2]。国連は、この水資源の問題に取り組むことをSDGsのひとつとして、目標6において、きれいな水と公衆衛生が万人に行きわたることに重点を置いています。

水資源の問題は発展途上国で特に顕著です。

「世界の人口が増加するとともに中産階級が拡大し、世界各国の工業化と都市化が加速しています。その結果、水資源は乏しくなり、必要とする地域等で水が手に入らない事態が起こっています。例えば、アジアは世界総人口の2/3を占めていますが、水の給水量は全体の1/3しかありません。」と、アムンディの子会社、KBIグローバル・インベスターズのポートフォリオマネジャーであるキャサリン・ケイヒルは述べています。

ケイヒルは気候変動が問題を悪化させていると指摘します。「端的に言えば、地球は水が有り余る地域と枯渇している地域とに二分されています。洪水や海面の上昇、あるいは多くの場所での平均気温の上昇による干ばつが起こっています。これらはすべて需給の不均衡に拍車をかけることになります。」

先進国でも起こり得るもうひとつの懸念は、水道インフラの脆弱化です。「鉄道や空港のインフラと異なり、水道インフラは大半が地下にあり見過ごされがちです。そのため、長期的な投資不足に陥っています。」

これらすべてが水の供給面の問題を深刻化させています。しかも、世界的に需要も急増しています。

アムンディは水資源の利用に関し大まかに3つの形態に分類しています。「需要の約10%は家庭利用であり、シャワー、食器洗い、飲料水などとして使われます。 需要の約20%が産業用の利用です。特定商品のウォーター・フットプリントは驚異的で、例えばジーパンとTシャツを1枚つくるのに2万リットルの水が使われます[3]。」

水資源の利用に締める割合が多いのは農業であり、総使用量の実に70%を占めています。「中産階級が発展途上国を中心に増加するにつれ、世界の食習慣は穀物中心からタンパク質中心へと変化しており、これが水の集中的な消費をもたらしています。」と彼女は警告します。

こうした状況では、水資源の利用に対する姿勢を全面的に変える必要があります。ケイヒルが考える重要な取り組み対象は、産業界の水利用です。「この領域は明らかに節水が可能です。水は工業プロセスのどこでも使われており、企業がその利用をどう管理するかがカギとなります。現在、世界の水資源の再利用率は僅か5%であり、改善の余地は十分にあると言えます。」

今後重要となるのは、人工知能(AI)とデータ分析を水道インフラに活用する「スマートウォーター 」です。これにより供給システムのパフォーマンスは最適化され、障害による中断が減り、異常気象による災害発生時であっても高い耐性によりエンドユーザーの信頼が高まります。

浪費を避けるために企業に促してウォーター・フットプリントを改善させる、あるいは、水に関連する深刻な課題を解決するために最先端技術を開発する企業を支援するなどの分野において、水資源というテーマには大きく伸びがあることをケイヒルは強調しています。「水に関しては、限られた供給、高まる需要、規制強化、インフラ増強の必要性、そして技術への投資ニーズという、議論の余地のない5つのファクターがあります。

これらは、パンデミックの発生と発展途上国では特に衛生面の強化が必要であるという課題でより明らかになりました。その変化は顕著です。例えば、ブラジルでは包括的な公衆衛生法案が公表され、インドでは『Jal Jeevanミッション・プロジェクト』などにおいて積極的な財政支出目標が掲げられています。同プロジェクトは2024年までに農村部すべての家庭に水道を敷くことを目指しています。これらすべては、ソリューションを提供する企業に大きな追い風となっています。」

気候変動がこのまま深刻化すれば、その影響は水供給の不均衡を増幅することになります。「過剰か過少か、水に対する気候変動の影響は極めて明白です。パンデミック危機から抜け出した政策当局者は、これまで以上に社会の健康と安全を重視していますが、水の危機によりこのバランスは容易に崩れてしまう恐れがあります。先ほど述べた長期の5つのファクターの足元で、良質な水と公衆衛生強化への意欲が世界の至るところで高まっています。」

これらの要素はすべて、投資家にとって水問題が長期的な成長テーマになり、世界で最も貴重な資源である水の公平な配分が確保されることを意味しています。

キャサリン・ケイヒルとのインタビューからの引用、2021年3月15日


出所:

[1] https://www.bbc.co.uk/news/av/world-africa-42866178
[2] https://en.unesco.org/themes/water-security/wwap/wwdr/series
[3] https://oxfamapps.org.uk/shop-blog/sustainable-fashion/post-about-sustainable-fashion/

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文書作成日: 2022年5月10日
文書番号:2309929

コラム著者

キャサリン・ケイヒル
KBIグローバル・インベスターズ、ポートフォリオマネジャー