サマリー

当社には、既存の投資対象のマネジャーとしてだけでなく、革新的な金融ソリューションの開発を可能にする役割もあると自負しています。より責任ある市場にするために、これらを組み合わせ、働きかけるのです。

2020年は新型コロナウイルス感染症という緊急事態に見舞われた一年であったと同時に、人類の気候変動への取り組みにおいて重要な節目となる2030年まであと10年となる年でもありました。

2018年、世界をリードする気候専門家は越えてはならない一線を示し、2030年までに地球の平均気温の上昇幅を1.5°Cに抑えるための大規模な措置が講じられなかった場合、その影響は壊滅的なものになると警告しました。[1]これは、干ばつ、洪水、食糧不安、貧困が、数百万人もの人々にとってははるかに現実味のあるシナリオになるというものです。

1.5°Cという目標を達成するために今後やるべきことはたくさんあります。よりクリーンなエネルギーと、より環境に優しく、より強靭なインフラへの大規模な移行が全世界で求められています。世界銀行は、この移行のために2030年までに約90兆ドル(約9900兆円*)もの莫大な投資が必要だと推定しています。[2]この資金ニーズを考えると、実は、個人の貯蓄であっても目に見える違いを生み出すことができると言えるのです。

よりクリーンなエネルギー施設とインフラを構築するために、政府、企業、(世界銀行などの)非政府組織は資金を必要としています。資金を調達するための一つの方法がグリーンボンドの発行です。グリーンボンドとは、借りたお金に利子を付けて返済することと、環境にとって良いことを明示し、その資金の使途とすることを約束した契約です。

資金使途には、再生可能エネルギー、クリーンな公共交通機関、より環境に配慮した廃棄物管理などがあります。グリーンボンドであるためには、その最終目的が、慎重に構成された一定のフレームワークの要件に合致しなければなりません。その点ではフェアトレード認証ラベルと少し似ています。これまでにグリーンボンドを発行した組織には、マサチューセッツ州、スウェーデンのヨーテボリ市、およびソシエテ・ド・グランパリなどがあります。ソシエテ・ド・グランパリは、欧州最大の都市インフラプロジェクトであるグランド・パリ・エクスプレス輸送ネットワークのインフラを構築している事業体であり、フランス政府が所有しています。

グリーンボンドは、目標を絞り込んでいること、多くの場合、プロジェクトを通じて削減されたCO2排出量が直接報告していることから、投資家にとって非常に魅力的です。

アムンディでチーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサーを務めるエロディー・ローゲルは、アムンディはグリーンボンド市場の開発の最前線に立っていると言います。

ローゲルは、「当社には、既存の投資対象のマネジャーとしてだけでなく、革新的な金融ソリューションの開発を可能にする役割もあると自負しています。より責任ある市場にするために、これらを組み合わせ、働きかけるのです。」とも述べています。

2017年、アムンディは国際金融公社(IFC)と提携し、世界最大のグリーンボンドファンドを立ち上げました。IFCは世界銀行の一部であり、グリーンボンドへの関心を高めたパイオニアのひとつです。ローゲルは「IFCはグリーンボンドを発行するための体制、すなわち『供給』サイドを活性化するリーダーとしての役割を、当社は投資家の需要を掘り起こすリーダーとしての役割を果たしています。投資のフロンティアを前進させ、責任投資の世界をできるだけ拡大するには、こういう形のイノベーションが必要不可欠です。」と述べています。

ただし、この挑戦は始まったばかりです。発展途上国のグリーンボンド活動の規模は、再生可能エネルギーや低炭素公共交通機関などのグリーン・インフラへの潜在的な投資規模に比べ、小さいままです。「新興市場でのグリーンボンドの発行額は2019年に21%増加して520億ドルとなりました。しかし、低炭素経済へ移行するには、全世界で前例のない規模の投資を行う必要があります。ご参考までに申し上げると、今後2030年末までに、新興国の都市で29兆4,000億ドル(約32百兆円*)の資金調達が必要になると推計されています。」

「当社は欧州最大の資産運用会社として、CO2排出量の削減を望む投資家による課題の理解を促す試みをリードしており、そうした投資家の資金を、気候変動に直接インパクトを与え、それを確認できる方法で運用しています。」


[1] https://www.worldbank.org/en/topic/climatefinance
[2] https://www.worldbank.org/en/topic/climatefinance
https://www.worldbank.org/en/topic/climatefinance

https://int.media.amundi.com/news/emerging-market-green-bond-issuance-hits-52-billion-in-2019-and-can-help-weather-shocks-amundi-and-the-ifc-reveal-in-new-report-1769-b6afb.html

*1 ドル=110円で換算

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文書作成日:2021年1月1日
文書番号:1810565

コラム著者

エロディー・ローゲル
チーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサー