アムンディの新興国市場グローバル責任者兼新興国債券市場共同責任者のイエレン・シズディコフには大きな責務があります。シズディコフのチームには、新興国市場の企業や政府に対して、より持続可能な社会の実現に取り組むよう説得していく責務があるのです。

そのためには、大掛かりな先行投資によって、政策やビジネスモデル、サプライチェーンの変革を求めていく必要があります。

では、新興国企業がサステナビリティの事案に取り組み、地域社会の事業主やリーダーに地球の将来に投資するよう促すには、どうすればよいでしょうか?

それはまず、地球規模で環境問題を考えるシズディコフの熱意を分かち合うことから始まります。世界で約80%の人々は新興国で生活を営んでおり、彼は最大の効果が得られるのはその地域だと考えています。

今後100年における新興国市場へのESG投資は膨大な規模となり、間違いなく投資家の注目がこの市場に集まります。

誰もがその事業機会に着目すれば、地域の人々の信頼を勝ち得るためのプロセスとシステムの構築に多くの作業が必要になります。

実際に大きな影響を生み出すレベルに移行するには、単なる除外基準に基づく投資戦略から距離を置かなければなりません。

アムンディのESG方針に沿わない企業や国には投資しないという受け身な考え方では、世界を変えることはできません。

そうではなく、シズディコフとそのチームはより積極的な役割を担っており、企業や政府にはさまざまな交流を通して、移行のプロセスを段階的に進むことを促しています。

「数多くのエンゲージメントの機会があります。なぜならば、企業や政府はこれまでの交流関係を通じて、変化する意欲を私たちに伝えているからです。しかし、変化に何が伴うかを彼らに認識してもらう必要があります。」

シズディコフによれば、ESGが素晴らしいのは、誰もがESGに関心を持っているという事実です。一方で、最も難しい部分は、ESGジャーニーの参加者全員にその行程が終わったときに恩恵があることを分かってもらうことです。 企業や政府が、サステナビリティへの取り組みをコストのかかる官僚主義的な煩雑な作業であると捉えてしまうと、彼らがその長期的メリットを認識するのが難しくなることを危惧しています。

しかし、投資資金を左右するアセットオーナーのような大きな組織とアセットマネジャーがひとたび一致団結し同じ方向に動けば、ESG投資は長期で逆戻りできない移行プロセスであることが、関係する企業や政府にも明らかになるでしょう。そして、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際組織がこの動きに加われば、サステナビリティには本格的に弾みが付きます。 シズディコフとチームは、こうした国際機関が初期段階で関与すれば、新興国市場でのEGS投資が収益事業として成り立つと確信していました。実際、アムンディは新興国市場のグリーンボンドにコミットした最初で最大の投資家です。

グリーンボンドを簡単に言うと、企業、NGO、そして政府が、環境プロジェクト向けの資金を調達するための手段です。それぞれのファンドには明確な最終目標があり、グリーンボンドの選択基準は国際的に認識されたグリーンボンド枠組みのガイドラインと一致しており、投資家は彼らの投資資金が環境に優しい未来のために使われることを知っています。

「多くの国は、自分たちに主権があり誰からも指図を受けないという条項を盾に取っています。そこで、IMF、世界銀行、あるいは国連などに、これは独立国家への内政干渉ではなく、地球全体にとっての深刻な課題であると彼らに伝えてもらう必要がありました。」

そのメッセージ効果は明確です。環境に優しい未来への移行には莫大な投資が必要です。その投資コストは大きいように感じますが、最悪の地球温暖化とそれによって生じる経済的、社会的問題を回避するためには不可欠です。ここで初めて、新興国市場でESG方針を導入する際の理論と実践のバランスを取る難しさに直面する、とシズディコフは述べています。

しかし、アムンディのような大手アセットマネジャーは、ESG分析、エンゲージメント、投資に特化するチームを結成できる潤沢な財源を有しており、有利な立場にあります。

「このように言えるのは世界でもごく少数の投資家です。というのも、新興国市場への投資家のなかで、当社のような一体化したモデルを構築できるのは極めて限られているからです。」

但し、これは業界の協力がなければ実現できないことであり、新興国市場でESG投資を成功させるための重要な構成要素である、と彼は確信しています。

シズディコフはその事例として、アルゼンチンとエクアドル政府との協議に他のアセットマネジャーを招待したときのことを挙げました。そのとき、彼らの多くが課題を通して協議に関心を示したことに彼は驚きました。

「当社の考え方や理念を広めることは重要ですが、同時にコンセンサスを得て投資家が我々と共にESGジャーニーに加わるよう説得しなければなりません。アムンディにとって、こうした行動の目的は真の変化をもたらすことであり、それは私たちに賛同する多くの投資家の存在があって初めて成立するのです。」


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出版日:2021年9月17日
文書番号:2039645

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