企業を除外するだけでは変化を生むことはできません。 除外すれば、その企業の将来に関与することがなくなり、行動に影響を与える術を手放してしまうからです。

責任投資の最も典型的な戦略の一つは、環境または社会に悪影響を与えている企業を単に除外することです。

批判の対象となるような兵器製造やより最近ではタバコなどの一部の株式は、概してポートフォリオから除外されています。しかし、除外するだけでは、世の中に大きな影響を与えることはありません。

時として持続可能性の評価が低い企業の方に長期的な成長と改善の余地が大きいこともあります。したがって、投資家にとっては分散投資を継続し、個々の企業を注視して個別にアプローチすることが重要なのです。

例えば、石油をはじめとする化石燃料によって環境に負荷を与えている企業のなかには、技術力を高め、今では再生可能エネルギー分野で大きな進化を遂げているものもあります。

規模が非常に大きく収益性の高いBPなどのエネルギー企業の一部は、二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、より透明性の高い方法でのカーボンフットプリントの削減に向けた進化を示しているなど、持続可能性への取り組みを改善させています。

アムンディもそうですが、歴史的にESGパフォーマンスが低い企業の一群を除外または売却することに反対する投資家がいる理由の一つは、この点にあります。アムンディでは、こうした企業を除外するのではなく、改善と慣行の変革を後押しするための取り組みを行っています。

アムンディでチーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサーを務めるエロディー・ローゲルは次のように述べています。「私たちの目標は、気候変動をひとつの取り組むべき分野にするべく、可能な限り多くの企業のビジネスモデルを転換させることです。企業には適応する意欲があります。こうしたベスト・イン・クラスのアプローチに発行体との継続的な対話とエンゲージメントを組み合わせることにが、あるべき形だと考えます。」

では、責任投資の観点からは、投資家は投資先の除外にどの程度焦点を当てるべきでしょうか。

除外は依然として強力な手段ですが、欠点がないわけではありません。アムンディ・グループDeputyCIOであるヴァンサン・モルティエは、「(企業を)除外するだけでは変化を生むことはできません。除外すれば、その企業の将来に関与することがなくなり、行動に影響を与える術を手放してしまうからです。」と説明しています。

このことは、アムンディは、ESGの対応が遅れているとみなした特定の企業をアンダーウェイトとする(配分を少なくする)ものの、変化を引き出すためにその企業に関与し続けることを意味します。

モルティエは、「ベスト・イン・クラスの手法は、適切な分散投資のためにも必要です[1]」と付け加えています。

実際、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素は、株式を選択し、その価値を測るための有効なシグナルの一つとなっています。

より多くの投資家が責任投資に関心を持つにつれて、ESG評価の高い銘柄(気候変動関連銘柄など)がより注目される傾向があり、投資対象としての魅力度も引き上げられました。これまで、超過リターンとは、市場のトレンドや特定ファクターを調整することで得られるものでした。しかし、全体的に見て、環境、社会、ガバナンスの課題で責任を果たしている企業のパフォーマンスは、そうでない企業よりも優れていることが、アムンディのリサーチを通じても明らかになりました。

モルティエは次のように指摘しています。「2014年までは、ESG投資が市場を明確にアウトパフォームすることはありませんでした。しかし株式および債券市場全体で投資家のESG投資が活発化した2014年以降、ESG投資が欧州と北米でアウトパフォーマンスの源泉となったのです。」

アムンディは、対人地雷、クラスター爆弾、化学兵器、生物兵器に関与する企業を除外しています。さらに自社のアクティブ運用ファンドにおいて石炭とタバコに関する具体的かつ対象を絞ったセクター排除方針を導入しています(グラフを参照)。

Controversial weapons

アムンディは以下の兵器に関与する企業をポートフォリオから除外しています*。

  • 対人地雷
  • クラスター爆弾
  • 化学兵器
  • 生物兵器
  • 劣化ウラン弾
Coal

石炭政策の除外規則:以下の対象企業は除外されています*。

  • 新たな一般炭生産能力を開発している、または開発を計画している石炭開発企業とそのバリューチェーン全体(採掘、生産、公益事業、輸送インフラストラクチャー)
  • 一般炭の売上高の全売上高に対する比率(売上比率)が25%を超えている企業
  • 年間1億トンを超える一般炭を採掘しており、しかも採掘量を削減する意図を示していない企業
  • 一般炭採掘および石炭火力発電の売上比率が50%を超え、しかもESG分析の対象外となっているすべての企業
  • 石炭火力発電および石炭採掘の売上比率が25~50%で、しかもエネルギー移行スコアが低下しているすべての企業
tabaco

タバコに関する方針*:

  • 除外規則:タバコの最終製品を製造する企業(適用基準:売上比率が5%を上回ること)。
  • 上限規則:タバコの生産・供給・小売に関与する企業(適用基準:売上比率が10%を上回ること)のESGレーティング(AからGの範囲)の下限をEとしています。

*2020年12月31日時点の除外方針。

[1] 分散投資は、利益も損失回避も保証するものではありません。

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文書作成日:2021年1月10日
文書番号:1810565

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コラム著者

ヴァンサン・モルティエ
アムンディ・グループ Deputy CIO